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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

「暦」百五十枚ばかり、『文芸』に「廊下」四十枚ばかり、『中央公論』に「赤いステッキ」三十枚ほど発表しました。これは順々になる筈だったのに先方の都合でミンナ出テシーイマッタというわけです。栄文壇ヲ席捲スと私たちは云って大笑いなの。「廊下」についてはこの前一寸書きました。三つの中では「暦」が一等でしょう。栄さんのものとしてもこれまでの中で一等でしょう。栄さんもこれからが本当のウンウンです。でも面白いと思います。昔、栄さんのところで御飯たべさせて貰った某女史は、あの栄さんが、と申した由です。文学は普通の人からかかれるべきものです。最も豊富な意味での普通の人から。変りものが即ち才能者ではますますなくならなくてはたまりませんからね。×作家が東朝の五十年記念一万円の懸賞に当選しました。「桜の国」という題。大陸にからめたものの由です。二人の婦人作家が三十何枚かの筋書だけ出して、それで通して貰うつもりだったとは、トーチカ心臓だ、というような話もどこからかつたわる。藪の雀のかしましさというような趣もあります、こういう話は。でもたまにはこれも一種の解毒ではないかしら、などと思いながら書いている次第です。