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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

このことは本当に微妙で、そしてあぶなっかしいことです。例えば、現在の奇妙な文学論――政治の優位性、というのだそうです。――に対して、芸術至上主義さえ単純に否定は出来ないと、『現代文学論』の著者などしきりに云っている。それはそうです。しかし、芸術至上主義をそれなり肯定すれば、おちゆく先は、経来ったところを見て明らかなのですから、やはり「人間性一般」的あぶないところに落ちこみます。

ね、私は箇性の持味で文学を解決してゆこうとはしていないのよ。そのためにバタバタよ。ですから、十四日のお手紙にある、完成や典型についてのこと、実に面白い。ヒューマニストに還元することに対する抵抗の示されている、あの十四年間の見かたの土台は肯定されていてうれしいと思いました。そしてあれは「現代文学の十四年間」とされる方がたしかにようございますね。高山の本には入れられません。むこうの本やが閉口というので。出たばかりで。あれをね、中心にして、一九三五年ごろの作品評や、これから又先の評などと合わせ、やがて一つのちゃんとした本にまとめましょう。そのときは、やはり「現代文学の十七年間」