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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

一月二十九日

こんどいつか気分のましなとき、又お手紙を待っています。お話して、と子供がねだる心持は、こうして考えてみるとなかなか面白いと思います。子供がお話、といってゆく相手との心のつながりが。子供はよく申しますね、長い長いお話して、と。ねえ。

一月二十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

一月二十九日  第九信

きょうの風のひどさ! 二階の南の空は正に黄塵万丈です、ガラス戸をあけるとすぐ目の中が妙になります。一天かき曇っています。こんなに干天で吹くのだから。火事がこわいこと。

お体の工合いかがかと思います。しきりにそう思っています、熱が落付きませんか? 風邪をおひきになりましたか? いけないわねえ、そう思っている次第です。何しろこういう旱天は体に実にわるくて、丈夫なものもすこしずつ異常です、太陽の黒点がすっかりこっち(地球へ)向いているからなのですってね。もうそろそろそれが移動している由です。来月の雨がそこで希望をもって待たれるのでしょう。

何だか様子が分らないので大分気になりますが、こちらからは呉々もお大切に、というしかない次第です。

私の病気は大体直って、或は直して、ずっと平常です。