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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
をのばさせてやろうとする心からだけされていて無償のものだということを知ったのはいいことでした。男のひとと女とは、若い人のもっている条件がちがい、女には特に女の先輩の力が入用です。そのことは知ってよかったのね。それで、野原の裏の地面のことああいう考えかたになったのよ。初め頃は、今更そんなこと要求されたりと、野原側で考えていてね。あのひとが少くともいくらかよりひろい見地に立つことを学び、それをきくことを学んだことは、将来の皆のつき合いのためにいいわ。
女の少しどうかあるひとは「書生を養う」のが好きで、自分の世話した若い男が世間的に立身するのをよろこぶが、そこが私に云わせれば、古い女の古さです。女こそ女を扶けなければ、ねえ。
多賀ちゃんはたくさんひがみをもっていて、そのトゲをなくしてかえったのは、あのひとの仕合わせよ。すこし利口な女が、やや逆境で、負けん気をもてば、狭い井の中でひがむのはさけ難いことですから。まあ私の親切の理解は様々でも満足されてうれしいと存じます。
夜は十時、ねえ。そういえば一昨夜はかぜになりかかって九時御就床よ。それでうまくまぬがれましたが。