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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

あしたうかがいましょう。何だか夢中だったのでごちゃごちゃしてしまいました。

林町へのお手紙よみました。みんなが、いかにも心持よさそうなお手紙だと云って、返事かくと云っていました。国男が、「姉さんの大変いい気持になるものをぜひ見せてあげたいから」と云って、食堂のサイドボード(覚えていらっしゃるでしょう、壁のところに高くたっていた茶色の彫りのある棚、かがみのついた)のところへひっぱってゆくから、何かと思ったらあれでした。緑茶の話が出ていて、笑ってしまいました。咲枝、動坂の家を知って居りますからね、あの二階でのまされた緑茶ということにはひどく同情して笑って居りました。でも咲枝は感心よ、のまされた人に同情するけれども、のましたものの心底もあわれと十分察して居りますもの。それはそうよ、全く。のましたものの方は、そんなにして、自分たちの新しい生活で仕事を渋滞させまいと思っていた自分の心を、満足にも思い些か残念とも思っている次第なのですもの。

太郎へのお手紙、すっかりよみましたそうです。ヤス子はまだ余り小さくてあそび相手にはならないので、私が、あすこをよんで、「でもヤスコは小さくてまだ遊べないね」