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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
身がちぢむからね。こんな肩身のせまい思いをする気持、あなたはお分りにならないのでしょう、くやしいぐらい、ね。
きのう「ユリは丸くなったねえ!」と仰云ったには、本当に恐縮しました。うちへかえってもハアハア笑いました。だって私はこの何年かの間に徐々に徐々に丸くなって来ていて今更おどろかれたというのは全く仰天ものでした。でもね、私は大笑いしつつ面白く思いました。だってきっときのうはそんなこと、ハハアとお思いになるぐらいどこかのんびりだったのね、きっと。顔ばかり見て、用事用事ではないところがあったのね、いくらか。
そんなにホホウとお思いになって? 誰をか恨まんやですね。本よみのことで、こんなに肩身せまがったり、こんなに忙しがったりして、それでも痩せる方へ向かないというのは、よくよくのことだから、どうぞあなたも御観念下さい。隆二さんをやとって「はしきやし丸き女房もまたよかり」という和歌でもつくってもらいましょうか。「またま、しらたま、かくるとこなし」とでも。
小説のことになるけれども、この頃はあなたも又改めて通俗小説のフィクション性をお思いになるでしょう、私は痛感します。