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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
うちのウソは行こう行こうと鳴くばかり、ね。洒落にもなりません。
笑っていらしたって。そうきくといくらか安心いたします。
日当のこと、もうじきわかりますが、旅費としてそちらへ行く分なんかないのよ、そうらしい様子です。はっきりしましたらいずれ。
お手紙はまだ着きません。ついたら、ああ御苦労さま、と云ってやりましょうねえ。本当に。この近いところを十日以上かかるためにはどんなに手紙もくたびれるでしょう、可哀そうに。
けさは、私は妙に眼が充血して痛んで、すぐ仕事しようと勢こんでいたのに、多賀ちゃんを出してから、リンゴをすって、それをガーゼにつつんで昼まで両方の眼をひやしました。昨夜眼を洗いたいナと思ったのにホーサンがなくて、けさはもうそう。風がひどかったためでしょう。もう大体大丈夫。しかし今夜はホーサンで湿布してねます。今、一つ書き終って、河村さんや何かにハガキかいて。――そう云えば中村やの話、おききになりましたでしょう? ひどいわね。それに、ああいうところでものを買うのは女が多くて、女の盲信的なところが又いかにも郊外住居の中流人趣味があって、あすこの混雑には反撥するものがあります。