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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

石坂、平田小六、深田久彌、太宰治、顔がつるんとしたようで撫で肩かどうかしらないけれども、現実に主観のこってりとした隈をつけて、一種の執拗さ、エロティシスム、ニヒリスム、あくどさ皆ある。深田が一番都会化して、それらを知的なものにしようとして中途半端ですが。そして狡さもある、芸術家として。薄情かと云えばそうだとは云えず。やっかいなものです。平田は、北京で頭一つ叩かれては五円借りて歩いている由。この平田がナウカのあった頃かいた「囚われた大地」という小説を、房雄はトルストイの作品に匹敵するとほめました。木星社に居た人。ですから私は評論集のときから知っていたから、「あなたもわるい時世に生れて、あんな小説をトルストイの云々ともち上げられる大不幸にめぐり合うのだから、しっかりしなさい」と云ったことがありました。

お医者様は、作家ではないし、又、種類もちがう人ですから(人となりが)私は撫で肩男一般への自分の好みを超越いたします。

ホグベンの『百万人の数学』は大変いい本だそうです。そしたらきょう同じ著者が『飢餓と疾病の撲滅』というような題の本をかいているのを見て(ホンヤク、出版)非常に感動しました。