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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
の絵はがき)〕
(一)銀座の亀屋の二階にこれ迄商品がつまっていたのが空っぽになりました。あとを画廊にしました。
窓が小さくて光線が不十分です。そこで、正夢さんの箇展がありました。久しぶりであのひとの絵を見ました。のんきな画で恐縮と云っていました。ペシコフ爺さんに似ている蒙古人でしょう? 水彩で一番気に入っているのだそうです。
(二)これは小さい水彩です。緑の樹の幹が前へもっと浮き出してうしろの水屋の気勢をつたえたらどんなにいいでしょう。この種のうらみ多し。生活の音響は面白いのにね。私はもしかしたらこの絵をとるかもしれません。まだ未定ですが。描写のアクセントというものは興味ありますね、北京でひどく貧乏して細君に病われたそうです。
(三)なかなかつかまれていると思います。でも、こういうデッサンを、勉強する室へかけてはおけませんね。そこに何かリアリズムの問題があると思います。或は人物のテーマのつかまえかたが柔かすぎるのでしょうか、つきぬけないリアリスムを感じましょう? この表情がプラスのものか、そうでないものか、画家は十分自分でわからないまま描いている、ちがうでしょうか。