轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
やっぱりこんなにして手紙かかなくてはすまないのでしょうと思って。
もし十日に天気がよかったら、うちの二人と寿江子とてっちゃんの一家とで稲田登戸の山の青葉の蔭へ寝ころがりに出かけます。うちではたけの子の御飯のべんとうをつくります。私はすこし歩いてどっさりのんびりして来るつもりです。歩きたいひとは、どうぞとしておいて。
きょうかえりに日比谷公園をぬけました。つよい風が欅の若葉をふきつけていて、柔かい葉房が一ふき毎に大変鋭い刷毛ではいた三稜形になって、ああこんなタッチで描いたら面白かろうと興をひかれました。いかにも瑞々しく柔かで、それで瞬間の刷毛めはいかにも鋭いの、面白いものですね。それで截られそうに鋭いの、若葉だからこそ出る鋭さで、そこが又面白いと思いました。嵐っぽい灰色の空のそういう緑の動きは美しいと思います。
今夜はうちはみんな早寝です、雨の音を気持よくききながら早寝です、もうすぐ寝ます。
そう云えばこの頃は水道がひどい渇水で、午後四時ごろ全く出ませんでした(きょう)。こんなおとなしい雨では、村山の貯水池の底までひりついた水が果してどの位ますのでしょうか。