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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
何だか私はへーんな気になって、この美しくて儀式ばっていて、しかも野蛮なようなことがらを眺めました。お嫁さんの方だけお土産というものをもって、そして来るのですものね。それからお盃があって、それがすんで座を改めてお祝いの席に代る間写真をとりましたが、達ちゃんは流汗淋漓です、私も。坐っているのが苦しくて。殆ど気がボーッとなる位です、達ちゃんポロポロ汗を流し(足のいたいのをこらえるため)眼をキラキラさせて(これはうれしさもあり)皆にあおいで貰っています。そこへ、私のところへ御面会になりたいという方が制服でモールつきで御来訪。敬意を表されたのだそうです。御婚礼の場所へまでわざわざ御苦労様とよく申しました。常識ではないことですからね。(下関、徳山間海港警備という新しいシステムが出来たのですって、本年から。万端の様子がそのために従前とはまるでちがいます)
それからこんどはお仲人の河村夫妻、写真屋さん夫妻が正座になおり、新郎新婦はそれぞれの親族の末席に坐ってお膳が出ました。この御仲人は二組の内輪のもので、並んで坐って、うちわの話みたいなことしていて、ちっとも双方の親族の間に話を仲介することなどしらないのです。