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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

と私たちのおくりものの真珠の指環をもたせてあげてやりました。丁度薬指にはまりましたって、太い方のを買って、どうかしらと心配していたのによかったと思います、中指に入らず薬指だというのも可愛い。そんなにむっちりした娘さんなの。大体大変可愛いひとです、達ちゃんより頭脳は緻密です。何しろ女学校の優等生ですから。いかにもそれらしい字をかきます、お父さんはワイオミング州にいるのですって。でもやっぱり何を商売にしているのかは不明です。お式のとき私がお母さんに挨拶して「あちらは、何をおやりです。木材か何かですか」ときいたらお母さん「さア何と申しましょう」と云うきりなの。これもなかなか面白いでしょう? この辺ではアメリカへ行っていると云えば金を儲けるために行っている、でもう何もきかないで、安心しているのですって。だから私もきかないことにしました。何をしていたっていいのに、どうしておかみさんも云わず仲人も知らずで、それですんでいるか実に愉快です。姉と妹と弟で、弟は中学を出てやはり父の方へ行った由。

昨夜は大笑いよ、皆二人ずつでくつろいでいると、お母さん、岩本の小母上(これは島田の家)、私と多賀ちゃん(これは野原組)、あちらの若夫婦。