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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
六月十二日
午後多賀子が広島からかえります、寝台券買えたかしら、あやしいものね。お母さんのおみやげに、到って世帯じみたものを頂きます、ちり紙その他。そして炭も少々送って頂きます。こちらでもお米の在りだかを毎日ききにまわってしらべて居ります。東京も一時そうでしたが。岩波文庫の広告見ていると、ディドロの「ラモーの甥」が本田喜代治訳で出ましたね、この有名な古典はどんなものでしょうね。十四日迄にあと三日ね。明後日の朝こちらを立ちます。一日のびるわけはおめにかかりまして。
六月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 山口県島田より(封書)〕
六月十二日 島田第五信
睡い夏の午後という文句がありますけれど、本当にマア何と睡いのでしょうね。この眠さ。頭のしんがしびれるよう。余り眠いからこの手紙をかき出します。
今、この暑いのにお母さんは徳山です。達ちゃんたちのお祝を林町から貰って是非何か何かと気をおもみになるから、ではお盆を頂いてかえりましょうと云ったら、それを買いにお出かけになりました。あしたは是非どこかまで友子さんをつれて送ると仰云るので、柳井ではとまらないし広島は遠すぎるし、さっき達ちゃんと相談して宮島までではいらっしゃって頂こうということにしました。