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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

八月一日

本当に、いつかの夏、林町にいて、四十度熱出しましたね。そして、叱られたこと! よく覚えて居ります。よく眠ること。体に力のある感じにしておくこと。それはよく気をつけて居りますから。今夜も十時半には眠るでしょう。先日うちのように、一日の大部分暑い外にいると頭がボーとなります。うちにいると疲れ大分ちがいますが、いつもそうばかりもして居られず。

読書案内のこと、はっきりそう思います。例えば「古代社会」だけで、発展が示されなければ、河出のあの結婚や何かを法律上しらべた叢書をあてがったって本質は何も知り得ないのですから。婦人伝についても、この頃多く出るのは回顧風のものね。その点婦人作家論はちがうつもりです。記録のこと、しらべました。

これからすこし明朝渡すものかきますから、又ね。

八月一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

八月一日  第五十三信 これで順でしょう?

妙にこんぐらかりましたから先ず、土曜日のことから。土曜日は多賀子が立った日で、朝そちらへゆき、私は夜東京駅まで送ってやりました。家を出るときは気がつかなかったけれども、往来を歩いたら頭がクラクラして足が浮いて千鳥足の気分だものだからびっくりして、送るとすぐ家へかえりました。