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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
こんな心持は、仕事の源泉的ないそがしさなどとちがったものでね。きっと、二人のときがあって、フーッと云って坐ってしばらく黙っていたら、そういう日々の瞬間に消されつつゆくものが、たまって来て、かんしゃくのようになって来るのね。今の事情でもとよりそれどころではない心持ですけれども。マアときどき国府津にでも行ってムラムラをしずめてやることにいたしましょう。全体の生活の感情から云えば、私は寧ろ、より人々の中を求めています。この界隈のちんまり工合は気にかなったものではないので。一昨夜隣組のあつまりが組長さんのところであって行ったらば(防空演習について)全くお客のもてなしで、おじぎばかりして、本当にえらいことでした。すこしコミカルであってね。この辺は六日に演習です。
九月二日のお手紙けさ着。私、そんなに五六月頃から疲れたと云って居りましたか? 忘れてしまっています。きっとそうね、その頃から変になり出したのね。眼鏡はもう落付いています。でも夜、白い原稿用紙の反射がつかれる感じで、当分は夜やらないことね。そう云えばバーナード・ショウは夜十時に必ず床に入りますって。