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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

この度は見張りが二人ずつ三十分交代となりましたから大変便利です。この界隈はしずかな隣組で、それも仕合わせです。住居はそういうことにも関係をもって来ました。樵雪という人の絵は、岩や松が生きもののようにムーッとしていて面白いと思います。いかにも一刻な画家らしく。

※(丸2、1-13-2) 九月七日。何と東海道でしょう。もう一枚の肉やのエハガキとくらべて見ると、ほんとに面白いと思います。肉屋のエハガキからはスケッチもかけるし、小説もかけるようです。それだけ生活がある。マアこれは風景だ、と云えばそうではありますけれど。西太后という女のひとの生活力は大したものであったことが今日万寿山を見てもわかるそうです。エカテリナの生活力が今日でもその建物によってわかると同じでしょうか。エカテリナはヴォルテールと文通しました。西太后はその生活力を傾けて反動でした。

※(丸3、1-13-3) 九月七日。バックの「愛国者」の住居は長崎です。いつも海と船とが家から見はらせるところに暮している。段々よむと、主人公の心持の転換のモメントが何だかあいまいです。誇張なしにかかれているが、やはりあいまいです。