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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

あの、いやな緑茶を濃く濃くして呑んでは。それとつながった気持から、やっぱり私が別の考えようをしていたということは、はっきり思い出すことが出来ますけれど。

ここに云われていることは精髄的な点です、ただ一つののこりものを光栄あらしめる本質です。これは私にきわめて明瞭な感覚です、一般的な動物的な欲求ではないのですものね、土台。ほかならぬ一つの心と肉体以外に連関のあることではないのですもの。私は舟橋聖一ではないから、ヒューマニティというものを動物的なところまで、煩悩までは包括して考えられませんもの。それにしても、こういうゆたかなモメントがあって、お互がお互の内に全くるつうになる心持は、何といい心持でしょう。何と一層緊密でしょう。全くたばでしょう? まるでまるでぴったりでしょう? 泣きたいほど、そうね。私たちにもたらされたこの深みのある、つやのある、みのりこそ、収穫のほめ歌でなくて何でしょう。この収穫は現実のもので、まぎれもないもので、そこにやさしいよろこびの諧調があります。私は未到のものの故に猶若々しく猶その成熟をいつくしむ自分たちを感じます。自分たちがもたないものについて、そのもたない意味を十分に知っていることから、持たない貧相さなど身につけず、却って益※(二の字点、1-2-22)ひろく瑞々しいマターナルなもの