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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
今は一寸一筆ね。原稿を、日曜で目白市場の郵便局が休みで落合長崎まで行って貰うので、ついでに。
これは小説ではないの、ごく短いの、その代り大いにピリリとしなければならない筈なのですが、果して如何か。
「煉瓦女工」の評は、随分こまかにしました。全く私もそう思うの。そして、文学の悪時代、出版の悪時代にめぐり合わせて、あの娘さんそのものが大分大した要素もあるらしくて、「藪入り」なんか最もましな部分の流露です。「今かくことはいくらでもある」「じゃ書くことがなくなったらどうするのかね」「そしたら小説家みたいに、嘘かいてやる」悲しき問答でしょう? 文学と云えば直木三十五しかよんだことがないというのをカンバンです。素人文学というものがここまで悪用されるとは川端康成も思わなかったでしょうね。先生という人たちものすごいのよ。新協で上演しようとしたら、先生第一声は「儲かりますぜえ」であったと唖然としていました。二十歳ですからね、私なんか、その娘さんのひととなりをきかないうちは、いろいろ心で思っていたが、今はいささかこわいと思って居ります。先生というのが政治家(この頃流)ですし。