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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
私のそういう従順さのようなものは本来はあなたに対してよろこばれるものよりも、寧ろ何か自発性の足りなさとして考えられる筈のものだと思って。同感でしょう。
けさは何というまざまざとした感覚のなかから目をさましたでしょう! 二つの腕のなかに紺大島のボリュームが犇とあざやかで、顔の前に何と紺の匂いが高かったでしょう。
下へおりたら十一日と十二日のお手紙。こうして一組になって到着するのは、いつも片方が黄色っぽい色で片方は白い色なのね、何だか面白い。この前のもそうでした。
十一日のお手紙、題のことで、動物園や植物園に縁のあるのばっかり多いというのは実に笑いました。本当にそうね。昆虫記のような題も少くないわね。日本の文学のある傾向もあるのね。そのこと何だか興味をうごかされ、今度一寸した感想にかいて見ようと思いました。
「日々の映り」という題への批評は適確です。名は体をあらわす式で、あれを私が書き直したい(結局別もののようになりましたが、逆から云えばそれほど)と思っただけ、作品として主観的だったのです。私は大変愉快よ、あなたのお突きの正確さが愉快です。こんな小さい道を貫いて、作品のよまれもしない内奥までふれられてゆくところが。