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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
十一月三日
小説や詩に何といろいろあるでしょう。私たちはたくさんの素晴らしい詩を知って居りますが、こういうテーマは小説にしか扱えないところ、やはり大変面白うございます。髄の味いのようなものね、それは小説です。私は詩がわかるだけでなくて小説家であることは何とよかったでしょう。では又ね。
十一月三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十一月三日 第七十四信
只今、うちは急に御飯をたいたりして小さく騒いで居ります、というのはね、午後から来たいと予約していた人が急につとめの工合で来なくなったハガキが来たので、この間から野っぱへ行きたくてうずうずしていたもんだから、さアじゃ出かけようと今のりまきをつくる御飯たいているわけです。お恭、たかちゃん、私と三人で、うらの武蔵野電車にのって大泉というところまで行って来ようというのです。そこは只原っぱなの。しかしその原っぱは高原風で実に心持よいの。
きょうは、お休みでなければ、私はどうしてもそちらへゆきたい日です。おとといからそうなのよ。けさはお休みの朝でしょう。全く「朝の風」の心持です。「朝の風」と云えば、河出の方はもう出版届けよこしました。