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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
金星堂どうかして居りますね。自分の商売の方から云ったって、早いのがいいのに。
島田へ手紙よくかきました。経営単位として何故一台一口とするかということを、よくわかるように、古くたって新しくったって一台は一台分の稼ぎをすることよくかきました。
そして、お母さんには、まことにいい柄の羽織を見つけたので裏も気張ったのをつけ、紐も見つくろってお送りいたしました。友ちゃんがきっと縫うでしょう。本当にしゃれた奇麗なの。傑作の部です。お母さんはああいう御気象ですから、割合いきめなのがお似合いになるのよ、面白いでしょう? 決してもっさりしたのがよくはないのよ。ですから、いつも私の見立てはヒットです。
その点あなたもそうなの御存知? 人の気質のなかにあるリズムや線は面白いことね。画家は私をなかなか描けないと申します。全体の印象は非常に鮮明なのに、さて描写してゆくとなると、太いようで繊細で、大きいようで小さくて、それらが交錯してつくり出している感銘はいかにも捉えにくいのだって。
それで思えらく、その人は(松山さん)人の印象の構成を静的にとらえようとしているのね。こんど話してあげようと、今かきながら思います。