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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
十二月二十七日
いろいろのことがあったけれども、総体としてはわるい年ではなかったわけでした。
でも、クリスマスなんかは外の飾りからすっかり消えて、銀モールその他なんかどこにも売って居りません。お正月のお餅は切符でこしらえます。おとそにするみりんが買えたので、マア珍しいと笑いました。みりんなんて殆ど一年ぶりですから。
二十八日迄のはこれでおしまいですが、本当のおしまいまでにきっと、まだもう一通は書くでしょうと思います。
寒さお大切にね、はらまききょうもって行きます。あの羽織紐いい色でしょう? では一先ずこれで。
十二月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十二月二十六日夜 第八十七信
手紙まだ書き足りず。今夜もかきます。
夜は机の木の肌もすっかりつめたくて、手もかじかむので、やっぱり火鉢がいりますね。今夜は二度目の火鉢よ。御倹約でしょう?「紙の小旗」をかくさわぎのとき入れたぎり。従って、大した夜更しもないこと実証也のわけね。
きのうの手紙はいそいで、好ちゃんのことやなんかちっともお話ししず。それやこれやで結局書き足りない感じで、こうやって又紙に吸いよせられたのでしょうと思います。