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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

戸ダイさんがアパートで炭なしらしく、賀状もこんなのにてれくさいと思ったら、床やのおやじが電気ストーヴをかしてくれて、手のかじかみがなおったからとかいてくれました。「メーターがおそろしく早い勢で廻転いたします」とあります。炭、米、アパートへは真先にことわる由。そういうのね。

今年のお正月通信はなかなか特徴的でしょう、おのずから。

野原の富雄さんは、きのう年賀電報という派手なものをくれました。多賀ちゃんと二人ハアハア笑いました。「段々父さんに似てきちょるかしれん」というわけで。

きのうは多賀ちゃんも云いたい話みんなして、二人きりだから、よかったようです。フミ子を夏休みによこしたいらしく、それもよいということになりました。四年になると卒業前上京します、旅行で。でも、私は例によって、時間のかち合いで何をしてやることも不便だったりしたらつまらないから、夏来ればゆっくりして、私は仕事していても姉ちゃんとどこへでも行けばいいし、それでハアいいということになりました。達ちゃん五月にかえり、六月には三年の御法事、夏はフミ子、冬達ちゃんが結婚でもしたら、なかなか出入りのはげしい一年です、六月にはたかちゃんがお留守いですから、誰かもう一人いれば安心なわけ。