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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

サバサバしていると云われると、何だか却って私の方が苦しいようでもありますが、でも、生活のひろい視野が出来て、考えかたがちがったところもあるのでしょうし、それでいいところもある。余り狭いなかで反撥しての選択でもあったでしょうから。しかし、何だかやはり私は苦しいところがあります、その手紙貰った男のひとの心を考えると。この人生に持っているいろいろの可能の相異(外部的なものとしての)を考えると、気の毒です。お母さんはおよろこびのようで、「よりよい娘となって」云々とほめたお手紙がありました。

でも多賀ちゃんは面白い娘です、内へ内へと吸収してゆく性質です。そのために考えきれないほどで、初めはひどく疲れたと云って居ります。

いろんな女のひとがいろんな相談をもって来て、その話をわきできいているだけでも、きっと随分判断力はつよめられてゆくのでしょう。

眼の黒子は三月に入って、私がすこしひまになってからです、ひとりで行って万々一妙なことになるといけませんから。

林町のあか子はまっしろけですって。この頃ずっと行かないので寿江子の話です。

そう云えば、隆ちゃんが家へお金送ったというのはびっくりいたしました。