轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
そのとき階段の下で、「おっしょさん、まいりましたよ」と云う小女の声がした。
持って来ておくれ、とお豊が云った。小女と幸助が岡持を運びあげて来ると、夜具を隣りの八畳へ片づけ、長火鉢の脇へ膳立てをした。深喜は幸助に向って「幸坊もいっしょに坐れ」と云った。幸助は眼を輝かしてお豊を見たが、お豊は首を振った。だめよ、今日はお別れなんだから、あんたは下でお光と喰べるの。ちえっ、と幸助は軽く舌打ちをした。なにさ、とお豊がにらんだ。なんでもねえさ、舌の畜生がはねやがったんだ。そんな躾の悪い舌は抜いちまうがいいわ、さあ、下へいっておくれ。へえ、合点でござんすときた、と幸助は云って、小女といっしょに出ていった。
お豊が燗徳利を長火鉢の銅壺へ入れるのを見て、深喜は「おれはだめだぜ」と云った。
「お別れだもの、まねぐらい、いいでしょ」
「まねだけだよ」
「心配しなくっても大丈夫よ」
と、お豊は頷いた。
もう外はすっかり昏れて、小窓の障子が行灯の光を明るく映していた。燗がつくまで、お豊はうきうきした口ぶりで、休みなしに話し続けたが、深喜と自分とで盃を持つと、急にしんと黙ってしまった。