轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
ほんの一と口の酒を飲むと、深喜は「では馳走になるよ」といって、食事を始めた。お豊は給仕をしたが「あたしは、もう少し飲むわ」と、自分で自分の盃に酒を注いだ。
「約束が違うぞ」と、深喜が云った。
「ほんの少しよ」
「その病気には、酒はいけないんだろう」
「あたしは大丈夫」と、お豊は微笑した、「ほんとのこと云うと、あたしずっと朝昼晩と飲んでるの、朝とお午は一本ずつだけれど、晩には二本飲んでるのよ、そのほうが、躯の調子もいいんだもの」
「自分でそう思うだけだ、病気を持っていて酒がいいなんていう理窟があるか」
「平手さんにはわからないのよ」
「そんな理窟は誰にだってわかるものか」
「そうよ、わかりやしないわ」
お豊はいきなり汁椀の蓋を取り、しずくを払うと、それでたて続けに二杯呷った。深喜は箸と茶椀を膳の上に置いた。
「そういうことをするんならおれは帰る」
「平手さん」
深喜は立ちあがった。
お豊は「いいわ」と云った。どうせ、あたしなんか見たくもないんでしょ、いいわよ。お豊はそう云いながら、角樽を取って、その口から冷のまま飲もうとした。深喜は近よってその手を捉え、角樽を奪って脇へ置いた。