轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
新粧
一
お豊は静かに泣きだした。
幹太郎は彼女からはなれ「三人で立直ろう」といった。
「私もしっかりやる、おまえも女ひととおりの稽古事を始めようし、幸坊も世間なみの子供らしく育てよう、わかるな」
闇の中で顔は見えなかった。しかし、幹太郎は手さぐりでお豊の手を握った。――お豊はあまく、酔ったように、忍び泣いていた。
新粧
一
三月中旬の或日――
淵辺道場の秋田平八のところへ女の客が訪ねて来た。
「会えばわかるといって、名前を云わないんです」
少年の村上小次郎がにやにやしながら云った、「どうなさいますか」
「だらしのない顔をするな、口をむすべ」
と、平八は叱った。
――お豊だな。
彼はそう思った。訪ねて来て名を告げない、しかし女客とすれば、ほかに思い当る者はなかった。彼は「内接待へとおしておけ」と云い、やりかけの事務を続けた。
この道場で『内接待』というのは、門人たち用の客間のことで、脇玄関のすぐ次にあった。
事務にひと区切りつけて、平八がその座敷へはいってゆくと、旅姿の娘が一人、脇に小さな荷包を置いて坐っていた。
「私がおたずねの秋田平八です」と彼は坐って云った。
見知らぬ娘は顔をあげた。