轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
六
「そうだ、いっそ、そこまでいってみるか」と、深喜は自分をけしかけた。
「一分で遊べるか」
「一分ですって――遊べるどころじゃあねえ、飲んで食って遊んでお釣が来ますぜ」
「本当だな」
「御存じのくせに、旦那はお人が悪いや」
「よし、やってくれ」と、深喜は云った。
六
廓などへゆくのは初めてで、深喜にはなにもわからなかった。
駕籠舁の云うままに、裏通りの、それが小格子というのだろう、『菱岡田』という店へあがった。遣手の女が駕籠舁になにか訊き、彼を奥の部屋に案内した。狭くて薄暗くて、ごたごたした陰気な家だったし、まだ客も少ないとみえ、どの部屋もしんとしていた。
「おれは初めてでなにもわからない」と、深喜は遣手の女に云った、「金も一分しか持っていないんだ。それで足りるようにやってくれ」
「わかってますよ、お口がうまいのね」
と、遣手の女は深喜の肩を叩き、そんなことを云っても、遊び馴れた人だということは、すぐにわかる、隠してもだめですよと云った。
深喜は「一分しかない」と念を押した。
遣手の女は承知をし「お見立ては」と訊いた。
妓たちは張店をしていて、客はそれを見て選ぶということは、話に聞いて知っていたが、深喜は妓たちを見もしなかったし、そのときはもう妓などはどっちでもよくなっていた。