轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
「サンデー毎日」1934(昭和9)年6月3日~10月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 页
「おや?」
酒の肴はあるものである、生きものらしいものは、犬ころも見えなくなったこの家に、鶯が、どこかで、啼きぬいているのだった。
楼主の飼っていた鶯らしい。露八は、お内緒をのぞいてみた。障子張りの鶯籠が、道具のない部屋に寒そうに置き忘れられてあった。飢えに迫った鶯は、人間の薄情さを、恨んで啼いているのだと、露八は思った。
廊下の隅に、摺餌の道具も、蹴ちらしてあった。露八は、鶯のために、餌を摺っていた。
すると、裏口から、槍の頭が見えた。烈しい声や跫音が、すぐ、表からも土足で上がって来た。大坂城詰の幕兵が、検察に廻ってきたのである。
一人が、露八の服装を見て、
「官兵だっ、生擒れっ」
と、云った。
「ちがう」
露八は、摺餌の乳鉢を持ちながら立ち上がって答えたが、それを叩き落とされて、
「放火隊の一人だろう」
ねじ上げられて、往来へ、突き出された。往来には、幕兵が、密集していて、
「間諜だな、この野郎」
「縛れっ」
「縛には及ばん。すぐ首だ首だ。空地まで引っ立てろ」
六、七名の幕兵が、彼の左右から腕をつかみ、背中を突いて、廓外へと、追い立てた。
「待ってくれ」
露八は、何か思いだしたように、突然、暴れだして、