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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
すこし紫色になって来たからもう大丈夫でしょう、化膿はしませんでしょう、ひきつれにもなりませんから御安心下さい。今はハンカチーフをたたんでくくっておくの。シップでふやけそうでいやなので。
それから、今夜種痘いたします。これをしないとこわくて。いろんなこと!
お母さんからお手紙で、やっぱりすこし風邪で神経痛がなさいましたって。そして前の河村の細君たちにいろいろ手つだいをして貰ったとおたよりですから、明日あたり何かあのひとたちのよろこぶものを送っておきましょう。お母さんにもお菓子お送りいたしましょう、サトウは一人宛十銭ですって。それも配給のあったときだけ。ですからお送りしたのでも大助りとのおよろこびです、今にそれよりはましになるそうです。
達ちゃんから航空便が来ました由。いよいよかえる日が近づいた様子です。電報を打つと云ってあるそうですがそれは打てますまい。早ければ本月うちに任地を出発するだろうとのことです。よかったことね。全く安心です、かえった顔をお母さんはどんなに涙をたたえた眼で御覧になることでしょうね。
そのとき私にきっとかえって欲しいとお思いでしょうが、この間手紙で申上げていたこと、考えておいて下さい。