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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

かぜを引いていらっしゃるというのではないのでしょう? どういうわけかしら。呉々もお大切に。多賀ちゃんの手術について、又家の人員の移動について、もうこまかくおわかりの時分でしょう。今又二人なのよ。今年は多賀ちゃんに寂しい正月させては可哀そうと思い、林町で歌留多とったりして例年にない正月でした、又独特の正月であったわけです。多賀ちゃんはこまかく人の心もちも分り、いろいろいい子だけれど、妙に文学的というところはなくてさっぱりしていて、いい子です。うちのことして貰って私、机にばかり向っていて、何だかすこし気の毒のようです。でも、まあ当分小さい子の見つかる迄これでやりましょう、三月になって多賀ちゃんの稽古がいそがしくなれば、又考え直してもよいことですし。

達ちゃん隆ちゃんにはもう着いたかしら。どうかしら。三越で、あなたの仰云っている通のこと私もよんでいるのできいたら、箇人関係では倍ですって! これで十分と云ってはいけないからなんでしょうと云っていました。箇人関係は倍というのは耳にのこって居ります、カンづめ等随分ね上り品不足。

倉知の紀がかえりました。あの男は三年ぶりです。