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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

栄さんのところ、稲子さんのところ、二人分で率が高まるわけです、あの人たちは庶民金庫からかりて、よそのお倉にいたものを全部とりもどしました。そして毎月十五円ぐらいずつ金庫にかえします。

この頃はそういう工合の暮しね、どこでも。この間うちはキャベジが一ヶ一円いくらかで、半分かっていました。半分四十何銭というキャベジには恐縮いたしました。ふだんに着るような銘仙が一反十五円ぐらいであったものが二十五円―三十円です。絹糸はボー落したが織物はそのねです。デパートへゆくと、もと四五十円の反物があったその並に百円のもの、それ以上のものザラです。そして、本年は、これまでになかった新考案の織物が続出いたしました由。そんなキモノきて、六割南京米の入った御飯たべて、そんなびっこの生活に女は平気で、せめてキモノだけと思っているとしたら、度しがたい次第です。いろんな形式で、こんな空気は健全にされるものではありません。カフェーは夜十一時迄ですから、昼遊びの店へと変形しつつある由。同じ遊ぶにしても昼のそういう気分が生活にどれだけ深刻に作用してゆくでしょう。昼間暇のない人間は遊ばないという理屈もなり立つかもしれないけれども。