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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
泉子さんがよるかもしれないというのでしたがよらず。いろんなこと話している間に、寿夫さんの細君になった人が来ました。これが、いつぞや上野の図書館でいきなり私にものを云いかけたとお話した女の人でした、やっぱり。名をきいたとき、どうもそうらしいと思ったのでしたが。お姉さんのようにしている方だからと云ったということですから、大いに力をつくしてそのような名誉は辞退しました、私は自分の弟は林町のが一人で沢山よ、寿夫さんが弟では任に堪えませんからね。その点は、冗談のうちにも、はっきりと申しました。だって、こまるわ、姉さんのようにして居りますのよ、なんて、ああいうひと。肉身でもないのに、じきおばさんだとかお姉さん云々とは全く趣味に合いません。
そのうちに、おひさ君が久しぶりで水瓜をもって現れました。洋装でね、ずっとつとめて居ります。呉々よろしくとのことでした、お体いかがでしょうと。達ちゃんの御婚礼の写真みせてやったら「アラア何てお可愛いんでしょう」とほめて居りました。自分たちのときはとらなかったのですって。
本当にひどい風です。益※(二の字点、1-2-22)明日は吹きつのるそうです。