轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
泉の噴水は、いつものようにおのずから溢れてふき上げながらその風で漣立って、水の頂きを風の方向にふきなびかせられている。秋の情緒ですね。美しい寂寥があります。風にふかれつつ光る水の色などに。
きょうは午後、『朝日新聞』で会がありますが電報でことわって出ません。そんな風に気をつけ、余りよみかきせず、三四日休んだらいいでしょう。ごちゃごちゃして御免なさい。ズーっと力をこめて一定に引かれていた線が、突然ゆれて力がぬけたみたいで、きっとあなたも「甚だ妙」でいらしたでしょう、私だって駭然としたのですから。こういう疲れかたは、おどろきを伴うのよ、特に「あら私目がまわる」と云ってすぐそこでつかまる手がない生活のなかで。この気分おわかりになるでしょうか。そこに手があってそれにつかまれれば、つかまったそのことで、もう疲れのいくらかは癒るのよ。これもお分りになるでしょう? 私の場合は大層な大所高処からの見解で、うっかりつかれたというと、それは通用しないのだから大したものねえ。全く大したものねえ。でも、疲れないようにいくらしたって疲れたとき、私はやっぱりそれをあなたに向って表現するしかないでしょう? それが自然なのもお分りになるでしょう? 国府津のことはもう考えていませんから。