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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

めがねやでは心得たものです。

この頃は外米にヴィタミンBが欠けているために、眼の苦情が増大しているそうです。それから酒の品質低下のために。

ここまで書いたらお客さん、若い娘さんたち。一人は写しものをたのんでいる可愛い人。お恭ちゃんはきょう上野の博物館見物です。佐藤さんのところに、さち子さんの姪が(十五歳)来ていて、その子に見物させるというので、つれて行って貰わせてあるわけです。この間はお恭ちゃんの兄さんが二人づれで来て、よろしくとたのまれました。大切に可愛がられている娘です。だからうちへ来ても変に引こんだところなくて、家の者としての気分でいてようございます。その点では、私は仕合わせだと思って居ります。

ここまで書いたのが十一日。きょうは十八日です。その間ずっと書きませんでした。

けさ、十六日づけのお手紙着。ありがとう。箱根のエハガキ、やっとつきましたそうですね。山の峯々遠けれど、という次第ですね。林町の父、そんなこと云って居りましたか? ストーヴの前の光景やいろいろよく覚えていて、あの重い剣をこしらえ直した火をいじる道具をもって話していたりしたときの様子まざまざ浮びますが、その話は忘れていました。