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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
五十九枚かいてね。『文学界』のロマンティシズムと一葉の、互に交叉し合った旧さ新しさの矛盾、ロマンティシズムそのもののもっていた限界の頂点で一葉の「たけくらべ」の完成と賞讚とがあったこと、彼女のうちにあるいろいろな常識の葛藤など分析しました。
きのうきょうは、そのつぎのロマンティシズムとして晶子、『明星』のロマンティシズムのこと、二十三枚終り。『文学界』のロマンティシズムは、日本の恋愛は痴情であるという観念に対してダンテ的愛を強調したけれど、『明星』のロマンティシズムは肉体の権利と高揚とを肯定して、一つの推進を示しているとともに、そのこと自身すでに自然主義へうつりゆく潮先を暗示するものであったこと、晶子の自然発生の感性の発揚は、しかし文学上の自覚としての文芸理論をもっていなかったこと、一葉もそうであること(これは今日までの一般の婦人作家の特長のようですから)、そこに問題が明日へのこされていること、そして、彼女のかいた評論、随筆のリアリズムと歌のロマンティシズムに分裂があって、そのことは評論に彼女独自のリズムや詩情を盛ることが出来ず、――理性を詩にまで高める力がなくて、あり来りの男のような文章(つまらない)にしていること、その分裂は多様性と云えないことなど。