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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
このごろは八時間労働です、平均。
流す汗にもいろいろという話。それは全くそうね。ここにかかれている夏の詩譚は大変美しいと思います。思わず渇いた喉をうるおすつもりで、というところ、あのところのリズムには、樹かげの谿流が自身の流れに溢れながら、そこに映る影をまちのぞんでいる風情がまざまざと響いて居りましょう? 谿流にはかげをおとす樫の梢もあるという自然の微妙なとりあわせのうれしさを、何とあの作者は真心からとらえてうたっているでしょう。
それから、もう一つの秀逸は、雄大な真夏のスロープの彼方に、かなたこなたと眺めわたされる丘々。という叙景の部分。スロープはこなた樹かげこまやかな谿谷に消え、かなた遙かに円き丘々。爽やかな夕立は歓喜の雨脚を輝やかせて、丘々をすぎ、スロープをすべり、谿流のせせらぎの上に更に白銀の滴々を走らせる、というあたり。旺な夏の風景が実に匂い立つばかりです。
私はちっとも詩をかかないというのは、どういうのでしょうね。文学の初歩によくかくでしょう。私はいきなり散文詩でした。それでも私の文章にリズムのないことはありません。メロディーもあります。