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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
ああ、ああ、ああ。と頭の中がのびのびしてゆくようです。点がからくてどんな駄目が出ても、やっぱりよろこんで顎をのせてフムフムときいていそうよ。ききめがなくていけないとお思いになるでしょうか。大丈夫よ、私はキオクリョクはある方ですから。
今年は一つよく気をつけ、早ねを益※(二の字点、1-2-22)励行して風邪引かずの冬を越したいと思って居ります。肺炎になったりするとこまるのよ、そのために必要な薬がありませんから。それからね、お恭ちゃんについて一つこまったことがわかったの、それはきょう申上げます。来年の春でもすぎたら、かえした方がよさそうなことがあるのです。健康上のことで。頭のことです。ですから、猶たっぷり眠らさなくては、ね。
私の例の表、おくれてしまいましたが、十月は甲が割合多いわ。甲七、乙一八、丙四、丁一。炭のないことから一層甲がますでしょう。それからね、大工を入れて、台所の水口の戸の羽目がくさってプカプカなのを直し、家の中の台所から茶の間へ入る仕切りのところやお恭ちゃんの部屋へ入る三畳の障子を内からの錠をつけます。いいでしょう? そうすれば相当安心です。