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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
御気分はいかが? 私の病気がうつらないように。肺炎が大流行です。そのための特効薬がないので死亡率は高うございます。私はチフスと肺炎では死んでいられないと思って用心です。きょうはそれで、午後から夜にかけての会は電報を打ってことわり、欠席。きのうだって九時そこそこに床に入ったのに。きょうもまたそうします。
多賀ちゃんはきょう帝劇で「早春」と「花のある雑草」という映画をみて来ました。ひとりで、切符が来ていたので。面白かったそうです。来てから初めての映画ですから面白かったでしょう。まだ芝居は築地の「建設の明暗」(中本たか子)だけだし。なかなか遊べませんね。いつかの手紙で申していた多賀ちゃんのとなりの娘、あれは来ないときまりました。工廠が出来るから村の内でいくらも就職できますからって。それはそうです。そこで、小学校の女先生の知り合いから、十五ぐらいの娘さんをたのむことにしました。夜の時間を勉強にやってやりましょう。お裁縫なり。これは多分できましょう。そしたら私も一安心。その子のおっかさんはどこかで働いているそうですから休みの日を同じになるようにしてやって、母子で休日をたのしめばようございます。