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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

それにつけても勉強勉強よ。そう意気地がないわけでもないでしょう? 出来得べくんば、私はほんとにイクジなしのおだまやちゃんとなって見たいところもあります。あなたは大した遠い思慮がおありになるから、ずーっと先にマリアだったかソーニャ・コ※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)レフスカヤだったかの伝記について、彼女がもっと甘やかされなかったらもっとよく成長出来たろうのに、とおっしゃったことがあったの、覚えていらして? 何年も何年も前のこと。彼女たちは可哀そうに、可愛がられるというより甘やかされ、その相異を知ることは出来なかったのです。私がその相異を会得しているところがあるとすれば、それは大した仕合わせでなければなりません。晶子の歌集が岩波文庫で出て、それをみると、妻としての思い、妻としての扱われかたが考えられるものがあります。きょう私は爽やかそうでしたでしょう?

では二十日まで。手紙かくの、行くだけの時間はたっぷりかかるのよ、御存じ?

十一月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十一月九日  第七十六信

七日のお手紙をありがとう。十五日の手紙未着の分については、申上げたとおり願います。