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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

そこでは、読者を意識して文芸評論として正面から扱うと一寸厄介だが、というようなものを扱っていて、そのためにその安易につくところが作用して、しゃんとしたものの筈のところに、一種の婦人向式のところがあらわれるということ。

女は決して甘やかされてはいけないし、婦人作家たちを見たってとことんのところではひどく扱われていると思います。例えば昨年婦人作家擡頭云々と云ったって、とどのつまり男のひとたちは、婦人作家の低さと一口に云って、婦人作家の中にも彼等より立ちまさったもののいる事実を抹殺して了うのです。婦人作家だけが、さながら低い別世界にでもいるように。

女の悲劇は、婦人作家論の中でくりかえしくりかえし見られたことですが、常に自然発生のノラ的なものと、それを発展させず、つまりは日本の女らしさに身を屈してゆく、その間の矛盾の姿、何といつの時期にも其々の形としてあらわれていることでしょう。

十九日のお手紙。二冊の本のこと承知いたしました。送ります。島田のお母さんのおつとめのこと。冬はお出にならないつもりだそうです。どんな風にくり合わせなさいますかしら。背戸の家の大きい柿をいりこと送って下さいました。