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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
多賀ちゃんがかえるとうち二人でしょう、するとお砂糖でも何でも大打撃なのよ。三人と二人とでは大ちがいですから。きょうの『都』の夕刊は、学生は震えているという記事が出て居ます、炭のこと。三十四五室もっていても一俵しかないというわけ。それにお砂糖も※(3分の1、1-7-88)に配給減になった由。寒いからあつい紅茶一杯ともいかない由。土、日、でなければ映画館へ学生入れず、乗物では腰かけるナ、頭いがぐり。そして炭もない。今都会へ出ている青年たちの暮しということを考えます。寒いから、かたまって本を読もうとしたりすれば、忽ちだし。青春の価値への確信を、彼等はそのような現実の中から自分で見出してゆかなければならないわけです。あらゆる非科学的な矇昧の間をよりわけて。大したものね。
きょうお母さんからお手紙で、この間の速達に対し、およろこびでした。いろいろなこと、そちらから云って呉れると、若いものはよくきくからとありました。でも達ちゃん行くことにしているかどうかは余りはっきりいたしていませんでした。出発の日は見送りにゆくつもりでいるという風にかいてありました。二十三日に面会して、それからあとは、いつ出るのか秘密の由。