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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
でも自分でその病気はよくわかって居ります、大丈夫よ。あれをともかく通って、私は先へ歩めるのですから。自分の病気というものを客観的にみて、そこへ二度と足をひっかけまいとするいろいろの芸術上の課題について考えられるようになりますから。
今年一年の小説の仕事はいろいろ大変有意義であったと思います。「広場」「おもかげ」「朝の風」、そういう系列のもの、それから「第四日曜」「昔の火事」「紙の小旗」という系列。それは来年にはずっと統一されて、主観的素材のもの、客観的素材のものとが、一つの現実への情熱のなかにとかされるようになり、それで初めてやっと一束のものとなります。
来年は勉強した素材で、出来るだけどっさり小説をかきます、たのしみ。こまかいものを書いてくれ、と云われなかったら万々歳なのですが。今のところ余り評論もかきたくありません。片々たるものは本当にいやです。雑誌の頁数がへりますから、どこでも片々となりやすいのです。評論ならやはり一つのテーマを自分でちゃんともって、それを毎月少しずつ書いてゆくという風なら、本当に成長に役立つでしょう。その方法をきめてやりとうございます。