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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
でも、あなたは余り勤めをおすすめにならない方がいいわ。体が丈夫でなくて、タイプに通ったってよくへばって臥てばかりいたのだから。体をわるくしたりするといけませんから。生活態度は何も形で勤める、勤めないのことではないのだから。勤めないなら勤めないということの中にある態度なのだから。あの子は頭に早いところがあるから、逆に目前の適応性がつよくてそのときの空気や話にアダプトするのね。何だか裏の地べたを隆ちゃんに云々のことも大した期待を抱かせませんね。それならそれでもかまわないようなものでもあるけれど。
客観的に今の光井の空気、その中でスポイルされてゆく村人たちの生活を思うと、一人の娘のそういう動揺もよくわかり、娘の家の存在もよくわかる、もっと貧乏で貸すところのないものはよろこんで働きに出てゆくのだから。貸せるから(高く)働かなくなる、こうして全く別の方向に押しながされるのね。いろいろやはり深いものがあるわけです。
来年は一仕事すませたら島田へ行ってみたいと思います、いろいろ勉強かたがた。たのしみなのだけれど、あのうるささ思うと些かうんざりね。大臣格でね、どこへお出でです、何日においでです、全く、ばかばかしいのよ。