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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
のすっかり完結して、予定の二十日より二日のびたけれど、序文、目次、年表とりそろえ『中公』が五時で終るのでフーフーかけつけて、やっと渡し、やれやれと本当に一年越しの重荷をおろしいい心持になったところ、大瀧の叔母に当る人が永く胃癌でいたのが亡くなり、そのお通夜ということになりました。
この大瀧潤家という叔父は不運な男で、林町の母と同じ年故今六十六でしょうが、三人の妻に病死されて居ります。一番初めの妻が、父の妹の鷹子という人でした。その人の子が、基とひろ子とあって、ひろ子というのは、三井のパリパリのところへ嫁いだはいいが、ひどいきらわれようをして、病気になって結婚して一年目に離婚して死去しました。基は後つぎだが、あとの細君の子が六人いて、ソーソーたるところへ、そのお菊さんというひとも死に、あとへこのお久さんという人が来てやはりこの人も没したというわけです。又何故お菊さんとかお久さんとかいう名の人ばかり貰ったのでしょうね。
私は、今度の叔母という人とは何かのことで家内が集らなければならなかったときしか会っていないのよ。ですから病気のこともよく知らず、見舞もしなかったので、叔父に対して余りわるいからお通夜いたしました。