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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
お考えおき下さい。本がないというのは、それだけのことですから。又手紙よみ直して、そう考える次第です。
きょう受とって来た請求書、つづけてかきかけましたが、いつも別封にとおっしゃるのを思い出し別にいたします。さもなければ又折角これを速達にする意味がなくなるといけませんから。
何だか、あした、あさってで、今年は終りというの、足りませんね。思い設けないことで日をとられてしまったので。でも大体予定の仕事はしたからよかったわね。あれがまだすまないうちだったら又のびのびで閉口でしたが。装幀は中川一政にたのみましょうと思って。いつかは石井鶴三にもたのみます。この間三越で明治大正昭和插画展見ましたときね。平福百穂の美しい原画(菊池寛かの)があったが、それが表紙になったところみると、印刷のエフェクトひどいのよ。金星堂の表紙は本当に秀逸です。生活の感じがあって面白いの。『文学の進路』も松山さんで、大根畑よ。今のところだと一月中に二つ本が出るわけですが。『文学の進路』はもう印税大分くいこみよ。半分ほど。
ああ、これだけ書いて、やっといくらかたんのういたしました。これはなかなか貴重なのよ、仕事の時間すっかり当ててしまったのですもの。