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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
そんな雪の夜の道。早春の雪ね。
なるべく手紙をたくさんかいて、と云って下さり、本当にありがとう。うれしいと思います。勿論それも、体の無理なく、ということの範囲で、ね。申すまでもないことですが。この頃、妙なわるい風邪が流行しています。雪が降ってへるということがないらしいの。用心いくらしていても、何ともかかるのはさいなんのようなところがあるので、この間うちから、もし、ユリが又病気になってしまって、動けなくなったらと思い、ずっとお目にかからないでいることが大変切なく思われました。理研レバーでもふせぎきれませんから。送って下すった衣類というのは袷類でしょうか。そうならいいけれど、もし別のでしたら袷、きもの、羽織送って下さい。ちゃんとしておきたいから。いろいろと心せわしいようなところもあります。
今年は創作の実のり多い年となりそうというよろこびが、このお手紙にもかかれています。私はどんなにそれを願っているでしょう、どんなにか。病気になんかかかりたくない心持分って下さるでしょう? かかってしまえば最善をつくすだけですが。せめて今年は本当に無病息災でと思います。