轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
「いいかげんにしないか、どういうつもりなんだ」
お豊は顔をあげて深喜を見た。
ひきつるように硬ばったお豊の顔が、深喜の眼の下で静かに蒼ざめてゆき、大きくみはった双の眼から、みるみる涙があふれ落ちた。お豊は両手で深喜の腕にすがりつき、深喜の腕に顔を押しつけ、そして、くくと喉で嗚咽した。深喜はその片腕を預けたまま坐り、片手でそっとお豊の背中を撫でてやった。
「そんなことは、もうやめなくてはいけない」と、深喜は云った、「おまえは飲みたくって飲むんじゃない、気負っているだけだ、本野という浪人や、三平や幸坊たちを、自分の腕で食わせてやっているなどと思う、その姐御気取りが重荷になって、精根を疲らせ病気のもとになったんだ、――飲みたくもない酒を、気負って飲んで、ありもしない力をあるようにみせかける、もうそんなことはやめにするんだ」
お豊は静かに泣いていた。
「こんどは、河内屋に引取られて、これだけの暮しができるんだし、病気を治すために保養もさせてもらえるんじゃないか、これまでのような姐御気取りはやめて、すなおな気持になるんだ、わかるだろう」
お豊は泣きながら頷いた。