轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页

青空文庫

「わかったんだな」

お豊は「ええ」と頷き、「ああ、遠い」と呟いた。

「遠いわねえ」

「なにが」

「え、ええ、草津がよ」

と、お豊は嗚咽した。

――平手さんとあたしのあいだは遠い。

お豊は心のなかで呟いた。

――ずいぶん遠いわ、こんなに遠くっては、とても、この気持はわかってもらえないわ、どうしたってわかってもらえやしないわ。

そして、また啜りあげた。

お豊はおとなしくなり、深喜に給仕しながら、自分も飯を喰べた。草津で病気も治すし、躯もきれいになって来る、とお豊は云った。そうしたら平手さんも遊びに来てくれるわね。来てもいいが、河内屋に悪いだろう。悪いことがあるもんですか、お顔を見るだけなんですもの平気よ。そういう云いかたはよせ。あらどうして、お顔を見るって云ってもいけないの。そういう云いかたはいやだ、と深喜は云った。そう、平手さんって、むずかしいのね。いいわ、それじゃあ、もう云わないわ、とお豊は淋しそうに眼をそむけた。

「さっき云ったことを忘れないでくれ」食事のあとで深喜が云った、「医者や、河内屋の云うことをすなおに聞いて、早く丈夫になって帰るんだ」

「ええ、そうするわ」