轻松读懂日语经典作品
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
当番の門人に「買物をして来る」と断わって、潜り門から外へ出たが、どこへゆくというあてはなかった。時刻はまだ八時まえだろう、あまり商家がないので、町は暗く、ひっそりとした道の上にかなり強く風が吹いていた。
――どこへゆこう。
ぼんやりと一丁ばかりいったとき、うしろから辻駕籠が来て声をかけた。お安くまいりましょう、と云われ、ついそのまま乗ってしまった。どちらまでと訊かれたので、賑やかなところでおろしてくれと答えた。
「なか(吉原)はいかがです。なかへやっておくんなさいな旦那、お安くまいりますぜ」
「そんな金はない、一杯飲むだけだ」
「一杯めしあがるお金があるんなら、結構なかで遊べますぜ、旦那はもちろん御存じだろうが、通な遊びは小格子ってえますからね、大店は田舎者の遊ぶところだから、ばかな金をふんだくられるだけでさ、そこへいくと小格子はちょくで情があって――」
深喜は心が動いた。
駕籠舁の言葉をそのまま信じたわけではないが、全然でたらめだとも思わなかった。かれらは廓の事情に通じているだろうし、自分たちの駕籠へ乗せた以上は客である。まさか客を騙すようなことはあるまい。